学習アプリでも機械マニュアルでも、情報を正しくユーザーに伝えるために、中国語ローカライズは、中国語翻訳と異なり、正確な翻訳のほかに文化的な適応が必要です。そのため、ターゲット市場の地域の言語文化や慣習に合わせた表現を使用し、ユーザーが親しみやすく理解しやすい内容に仕上げることがポイントです。
目次
1.中国語ローカライズは、中国語翻訳と何が違うのか
ローカライズと翻訳の違いは、適応する範囲にあります。翻訳は主に言語の変換に焦点を当て、原文の意味を翻訳先の言語で忠実に表現します。一方、ローカライズは言語だけでなく、文化的背景や地域の特性も考慮に入れる必要があります。例えば、中国語なら簡体字と繁体字の使い分け、あるいは単位、通貨、年号の表記方法などを現地の慣習に合わせて調整することで、ターゲットのユーザーにとって自然で理解しやすい内容に仕上げることができます。
2.同じ中華圏でも、地域によって言語文化が違う?
中華圏と呼ばれる地域は、中国本土、台湾、香港、マカオなど広範囲にわたりますが、それぞれの地域には独自の言語文化や言語慣習が存在します。例えば、中国本土では標準語(普通話)が公用語として使用され、地域ごとに異なる方言が話されています。上海では上海語、広州では広東語が日常的に使用されています。
台湾では、標準中国語(国語)が公用語ですが、台湾語(閩南語)や客家語も広く話されています。また、台湾では繁体字が使用され、中国本土の簡体字とは異なる文字体系が用いられています。
香港では広東語が主流であり、公用語は広東語と英語です。書き言葉としては繁体字が使われます。特に広東語の俗語や表現は、他の中華圏地域とは異なる独自の進化を遂げています。マカオも広東語を主に使用しますが、ポルトガル語も公用語の一つであり、独特の言語環境が形成されています。
また、同じ言葉でも地域によって意味やニュアンスが異なる場合があります。例えば、「謝謝」は中国本土では一般的な「ありがとう」ですが、台湾では「感謝」や「多謝」といった表現も頻繁に使われます。香港では「唔該」(m̀h’gōi)という広東語の表現が一般的です。このように、中華圏は共通の文化的ルーツを持ちながらも、言語文化や言語慣習において地域ごとに多様な違いが見られます。
3.地域にあわせて、漢字を変換しただけではユーザーフレンドリーにならない?
中国語繁体字と簡体字の漢字を変換しただけでは、ユーザーが使いやすい説明書やアプリにはなりません。単なる文字の変換では文化や言語のニュアンス、使用習慣、地域特有の表現などを十分に反映できないからです。
例えば、中国本土向けの説明書を台湾向けに変換する際、単に簡体字を繁体字に置き換えるだけでは不十分です。使用される言語表現、語彙の選択、さらには文法的な構造も調整する必要があります。これにより、ユーザーが直感的に理解しやすく、より親しみやすい説明書を作成することができます。
4.名詞だけじゃない、擬音語も違う?
表現の違いは、名詞や単語だけではありません。例えば、ゲームの中で魔物が現れるときの地響きを中国のゲーム翻訳者と、台湾のゲーム翻訳者にそれぞれ翻訳をしてもらうと、次のような違いが出てきます。
日本語原文 「ぐおぉぉぉぉぉぉ」
中国の簡体字訳(中国)「呜嗷嗷嗷……」
台湾の繁体字訳(台湾)「吼喔喔喔喔喔喔……」
ゲーム用テキストの中国語ローカライズの場合は、こうした細部まで、丁寧に仕上げる必要があります。
ミエトランスレーションサービスでは、翻訳先言語(中国語簡体字、中国語繁体字)の使用地域に応じて、表現を使い分け、ユーザーフレンドリーな翻訳物に仕上げることができます。中国語翻訳、中国語ローカライズについて、どんなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。