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日本語から中国語に翻訳するとき、中国語にない漢字はどうする?中国語翻訳でレイアウト後の文字化けを防ぐためには、何が必要か?

例えば「佐々木さん」の「々」のように、中国語のフォントには無い漢字があります。デザインソフトの中国語フォントでは打てなかったり、仮に打てても全体の中国語フォントと表示が異なりデザインが崩れてしまうことがあります。

1.日本語の漢字がそのまま使える、旧字体や異体字

例えば「渋谷駅」の「渋谷」は、中国語繁体字では「澀谷」と書きます。日本語の旧字体が、台湾の中国語繁体字と同じ形です。「稲荷駅」の「稲」も同様に、中国語繁体字では「稻荷」となります。
日本の人名で旧字体を使っているもの、例えば「國本」はもちろんそのまま中国語として使えます。また、「わかんむり」の「冨田」の「冨」は、少し特殊な漢字ですが、中国語では異体字として台湾政府の教育部に認められているため、中国語繁体字としてそのまま使用できます。
これらは、いずれも中国語文字コードのBig5でも入力できる漢字で、中国語にしたときに、文字化けの心配もなく安心して使えるものです。

2.日本語にあって中国語にない漢字

一方で、完全に中国語には無い漢字もあります。日本で店舗名や人名にもよく使われる漢字で、例えば、「雫、峠、凪、辻」などがあります。ラーメン屋さんやケーキ屋さんなどの店名、ゲームのアイドルキャラクターの人名などでも、よく見かける漢字です。
これらの漢字は中国語文字コードBig5にはありません。そのため、日本語フォントを使うことになります。日本語フォントで入力すると、中国語フォントに置き換えたとき、表示できない場合があります。環境によっては文字化けする場合もあります。

3.似たような中国語の漢字に置き換えるか、日本語の漢字をそのまま使うか

日本語の漢字で、中国語の漢字にはない場合、似たような中国語漢字に置き換えるか、あるいは、日本語で入力してそのまま使うか、いずれかの方法で対処することになります。
例えば、ゲームのキャラクター名のように繰り返し出てくる名前で、環境によって文字化けすることを防ぐ場合、似たような中国語の漢字に置き換えることがあります。音や意味が比較的似通っている中国語の漢字をあてます。
一方で、日本語の漢字ではあるものの、そのまま使ったほうがマーケティング戦略的に有利だと思われるため、日本語の漢字を採用する場合もあります。

もとの日本語 中国語(台湾)繁体字の当て字 説明
中国語繁体字Big5にあるが、台湾読者が読めないため、「雫」という名前は「雯」にする。
例)月島雫>月島雯
中国語繁体字Big5にあるが、台湾読者が読めないため、「咲」という名前は「崎」にする。
例)柴咲コウ>柴崎幸
例)店名で日本語のほうが認知度の向上に有利であるため、日本語漢字を採用。Unicodeで入力可能。

こちらの動画では、日本語にあるが中国語にない漢字と、翻訳の方法について紹介しています。

4.翻訳やローカライズで注意することは?

最終成果物をどのような媒体や環境で使うのか。ローカライズのために、現地ユーザーが読みやすい漢字に置き換えたほうがいいのかを検討する必要があります。

ミエトランスレーションサービスでは、翻訳先言語(中国語簡体字、中国語繁体字)の使用地域に応じて、表現を使い分け、ユーザーフレンドリーな翻訳物に仕上げることができます。中国語翻訳、中国語ローカライズについて、どんなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。