台湾にあって日本にない?翻訳で見つける異文化
台湾生活で見かける「これ、日本にはない」という驚き。実は、中国語翻訳の現場でも、そうした文化や制度の名称などを度々見かけます。こうした翻訳案件では、異文化にどう向き合い、どう訳すのがよいでしょうか。翻訳にかかわる視点から、いくつかご紹介いたします。
目次
1. 暮らしの中にある「台湾にしかないもの」
台湾で生活していると、日常のあちこちに「これは日本にはないな」と感じるものがあります。たとえば、コンビニやスーパーでもらうレシート。よく見ると、そこには長い数字が印字されています。これは、2カ月に1回、当選番号が発表される「統一發票」という制度で、レシートが宝くじの役割を果たしているものです。台湾政府(財政部)のウエブサイト「財政部税務入口網」で当選番号が定期的に発表されています。
政府の脱税対策という噂も耳にしますが、いずれにしても消費者としては、日々の買い物がちょっとした楽しみに変わるこの楽しい仕組みになっていて、日本にはない制度です。
こうした文化の違いは、現地で暮らして初めて実感できるものですが、実は私たち翻訳会社が翻訳業務のなかでたびたび遭遇するものです。特に、中国語(繁体字)から日本語への翻訳では、台湾特有の制度や習慣が随所に現れます。
2. 実務中国語翻訳で出会う、台湾特有の言葉たち
実務中国語翻訳においても、台湾特有の文化や制度がよく登場します。例えば、業務委託契約書の翻訳では、「統一編號」という用語がよく出てきます。これは台湾の企業や法人に割り当てられる8桁の登録番号で、一見、日本でいう「法人番号」のように見えますが、仕組みも用途も異なります。
「統一編號」も、台湾政府(経済部)のウエブサイト「商工登記公示資料査詢服務」で閲覧できるようになっています。
また、「颱風假」という台湾特有の休暇も大変興味深い制度で、社内規則や就業規則の中国語翻訳などでよく登場します。これは、日本でいう台風警報と似ていますが、大型台風の際に政府が指定するもので、企業や学校が一斉に休業・休校になる制度です。日本では台風での休業は企業判断に任されるのが一般的なため、「台風休み」と直訳しても実情が伝わりにくいのが難点です。
こうした台湾独自の制度や用語は、中国語翻訳会社の知識と判断力が試されるポイントです。言葉の背後にある文化や制度を理解していなければ、誤訳や説明不足につながってしまいます。
3. 直訳も意訳も、正解ではないとき
これらの用語は単に「似ているものに意訳」すれば済むという話ではありません。たとえば「統一編號」を「法人番号」と訳してしまうと、日本の制度と誤認される恐れがあります。一方で、意味を説明するように「台湾における企業識別番号の一種」と長々と訳してしまうと、読み手にとってはわかりにくくなってしまいます。
「颱風假」についても、「天候による特別休暇」と柔らかく訳すこともできますが、それでは台湾の制度を正確に伝えられません。しかし「政府指定の台風時の公式休業日」と表現すれば意味は通じますが、読みやすさや文脈とのバランスが最適とは言えません。
中国語翻訳においては、「意味を伝える」ことと「原文の制度や言葉の固有性を損なわない」ことの両立が常に求められます。現地の実態を知らないと、意訳で余計な意味を加えたり、逆に読者に誤解を与えたりしてしまうのです。
4. 台湾文化に根ざした中国語翻訳のために
当社では、このような台湾特有の用語や制度に対応するため、お客様用に「用語集」や「申し送り事項シート」を作成し、翻訳原稿と一緒に納品しています。たとえば「統一編號」や「颱風假」のような用語の場合、契約書の場合は、使用者が混乱しないように、原文の表現を採用しながらも、適切に補足説明を加えるようにしています。
また、文書の用途や想定読者に応じて、訳語のトーンや用語の扱いを柔軟に調整することも、プロの中国語翻訳者の大切な役割だと考えています。
台湾と日本は文化的に近いようでいて、制度や習慣には大きな違いがあります。その違いを正しく理解し、丁寧に伝える中国語翻訳をお届けするために、私たちは日々現地の情報にアンテナを張り、用語の背景にある文化や法制度にもしっかり目を向けています。
中国語翻訳のことでお困りのことがあれば、ぜひ当社にご相談ください。台湾のことをよく知る翻訳者とともに、信頼できる翻訳をご提供いたします。
私たちは中国語翻訳のプロとして、常に言葉に敏感であるよう感性を研ぎ澄まし、お客様のビジネスに有効で、エンドユーザーがストレスなく楽しめる中国語文を作ることにこれからも邁進して参ります。中国語翻訳に関することなら、どうぞミエトランスレーションサービスにお気軽にお問い合わせください。