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中国語字幕の作り方|翻訳会社が解説する動画広告の地域別ローカライズ戦略

SNS動画広告の活用が広がる中、各国向けに適切な字幕をつける「多言語字幕ローカライズ」の重要性が増しています。特に中国語字幕は需要が高く、中国語翻訳の品質が動画広告の成果を左右するといっても過言ではありません。

本記事では、中国語翻訳会社として、中国本土・台湾・香港に向けて動画広告を発信する場合の中国語字幕の最適化ポイントを詳しく解説します。

目次

1. 海外向け動画広告には4種類の中国語翻訳が考えられる理由

「中国語」とひとことでまとめられがちですが、広告ローカライズでは最低でも以下の4種類を区別する必要があります。地域によって表記、語彙、言い回し、発音が大きく異なるため、字幕制作の最初の段階で整理することが不可欠です。

① 中国語(北京語)/簡体字(中国向け)

中国の標準語で、世界最大の中国語話者が使用しています。グローバル広告においては必須のバージョンと言えます。

② 中国語(台湾華語)/繁体字(台湾向け)

台湾市場向けでは必須です。漢字、語彙、表現が中国本土とは異なり、台湾向けローカライズには専用の中国語翻訳が必要です。

③ 台湾語(閩南語)/繁体字(台湾向け)

台湾の日常会話で広く使われる言語です。親しみや地域性を表現したい広告で効果があります。ただし書き言葉としては一般的ではありません。

④ 広東語(粤語)/繁体字(香港向け)

香港やマカオで使用されている言葉です。台湾の繁体字とは異なる字形や語彙があるため、別バージョンを用意する必要があります。

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2. 字幕制作の鍵:書き言葉と話し言葉の違い

字幕(テロップ)とナレーション台本には、「書き言葉」と「話し言葉」という明確な区別があります。上記の①と②の中国語は、書き言葉としても使える言語で、字幕やテロップに適しています。

その一方で、③台湾語(閩南語)と④広東語は話言葉として使われることが多く、字幕やテロップには適していません。特に台湾語(閩南語)は、台湾政府が国語言語の保存としての取り組みや教育を進めていますが、現時点では書き言葉としては一般的ではなく、発音から漢字に書き起こしたとしても読めない人も多いため、字幕として使用するのは適切ではありません

言語 書き言葉 話し言葉
中国語(北京語)/簡体字
中国語(台湾華語)/繁体字
台湾語(閩南語)/繁体字
広東語(粤語)/繁体字

☝️台湾向け繁体字翻訳について、さらに詳しく
地域別の中国語翻訳が顧客満足度を向上

3. 中国・台湾・香港の字幕&ナレーションの実例比較

中国語は書き言葉としても話し言葉としても使えるが、台湾語(閩南語)や広東語は書き言葉としてあまり使われないというのは、少し理解しにくいかもしれません。実例の動画を見ながら解説いたします。

中国銀聯(China UnionPay)
電子決済システムの動画広告です。
中国語のナレーションで、中国語のテロップが入っています。
ナレーションはテロップを読み上げる形で、文字と音が一致しています。

KIRIN Bar BEER
台湾で放映されている動画広告です。
中国語のナレーションで、中国語の字幕が入っています。
こちらもナレーションは字幕と一致しています。

クリーンな行政とコンプライアンスの啓発動画
台湾で放映されている動画広告です。
三名の男性は台湾語(閩南語)で会話をしていますが、字幕は中国語で書かれています。
つまり字幕のテキストは会話の台湾語を文字にしたものではありません。

ドンキーコングバナンザ
香港向けのNintendo Switch2のCM動画です。
ナレーションは広東語を話していますが、字幕は中国語で書かれています。
こちらも字幕は広東語を書き起こしたものではありません。

台湾と香港の動画広告のように、地域との親和性が高い広告にするために、字幕は中国語を使うが、ナレーションは現地の話し言葉にするというのは、一つの有効な手段であると言えるでしょう。

4. ナレーションを話し言葉で吹き替える際の注意点

お客様から「ナレーションは親しみのある台湾語にしたい。字幕もそれにあわせて台湾語で書くべきですか?」というご質問をよくいただきます。
答えは NO です。その理由は、

  • 理由1:台湾語は話し言葉がメインで、文字にしても読めない人が多い
  • 理由2:ナレーターが「台湾語」脚本を読めるとは限らない
  • 例えば 「違うよ!」というセリフの字幕を中国語と台湾語でそれぞれ書いて見ると次のようになります。

  • 中国語字幕:不是啦!(誰でも読める)
  • 台湾語字幕:毋是啦(読めない人も多くいる)
  • 台湾語は話せても、書けないという人が少なくありません。無理やり漢字で表記したとしても、それを読める人は限られ、却って親和性の低いプロモーション動画になってしまう恐れがあります。

    5. 動画広告で失敗しないための中国語字幕の結論

    字幕(テロップ)は、書き言葉の中国語(簡体字 or 繁体字)で統一する。
    ナレーションは、地域の視聴者に合わせた北京語/台湾華語/台湾語/広東語で収録する。

    この組み合わせが最も視聴者に伝わり、広告効果も最大化できます。

    6. 中国語字幕・動画広告ローカライズを中国語翻訳会社に任せるべき理由

    中国語字幕制作は、単に漢字に置き換える作業ではありません。

  • 地域ごとの言語仕様(簡体字・繁体字)
  • 書き言葉と話し言葉の使い分け
  • 音声収録の可読性と実現性
  • マーケティング戦略との整合性
  • ブランドイメージを損なわない文体選定
  • これらをすべて考慮して字幕を制作するには、専門の中国語翻訳会社の知識が不可欠です。

    ミエトランスレーションサービスは、
    中国語字幕制作・動画広告の中国語翻訳・広告ローカライズを専門に作成できる翻訳者が揃っており、中国・台湾・香港向けの動画広告を数多くサポートしてきました。

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