ゲームローカライズは、機械翻訳でもできる直訳とは異なり、配信先の国や地域の言語で、ゲームが本来持つ魅力や世界観を再現する必要があります。ただ単に意味だけを正確に翻訳したのでは、ゲームのテキストとして魅力に欠け、プレーヤーが夢中になって遊べるゲームにはなりません。
例えば、武器アイテムなど、翻訳が簡単に見える単語でも、その背景にあるストーリーや使われ方などを十分に理解し、人の感性やセンスを活かして作りこむ必要があります。
AI技術が発展し、最近では機械でも非常に精度の高い翻訳ができるようになりましたが、感情や感性を活かすところは、人間の方が得意だといえるでしょう。ここでは、ゲームの中国語ローカライズについて、機械の翻訳と人手編集で仕上げた翻訳を比べながら、海外での配信が成功するゲームローカライズの例をご紹介しましょう。
1.意味を翻訳しただけでは不十分
剣の「シャムシール」を例に挙げてみます。シャムシールは、古代より伝わる美しい剣、わずかに曲がった細身の刀剣です。自動翻訳機に入れると、「沙姆希爾」のような音訳が出てくることが多いようですが、中国語は物の形状や用途からネーミングされることが多いため、「曲刀」や「彎刀」という翻訳があてられることも多いです。
さて、ここで、さらに美しさを強調するために、静かな夜空に美しく弧を描く刀を思い浮かべ、「圓月彎刀」としてみます。美しいリズムの中国語にプレーヤーのイメージもふくらみ、ゲームの世界が一気に深みが増すでしょう。
2.単なる音訳にしない
アーサー王伝説に登場する剣「エクスカリバー」はどうでしょう。こちらは知る人ぞ知る有名な剣アイテムですが、これも自動翻訳機に入れると「艾克斯卡利伯」という音訳が出てきてしまいます。
そこで、この剣にまつわるストーリーを考えてみます。一説によると、これは、アーサーが石から引き抜きぬいて、血筋を証明した、由緒正しき王者の剣だと言われています。
では、この物語をヒントに、中国語で「石中劍 」と表現してみます。剣の品格が一気にあがり、カッコイイ響きになります。人の感性やセンスが発揮できる、ゲームローカライズの醍醐味です。
3.シーンを読み、役割を含ませる
もうひとつ、ご紹介しましょう。身近な果物で「りんご」を例に挙げてみます。エデンの園を模したストーリーで、アダムとイブらしきキャラクターが食べている果物なら、りんごを中国語で「蘋果ピングオ」、英語で「appleアップル」とするのではなく、それぞれ「禁果」や「 Forbidden fruit」としたほうが、ゲームローカライズとして精度が高くなることは一目瞭然です。(※禁断の果実は「実はりんごではない」など所説ありますが、ここでは便宜上、りんごと仮定します。)
こうしたロジックは、色んなところで応用できます。例えば、「ポーションを手にいれた」という一文も、「キレイな瓶に入った液体の薬」を思いながら、単純に「薬水」としてしまうのではなく、ストーリーの中でどのような役割を持っているのかを考えて、翻訳をするのです。
実は、このポーションはゲームの中で「砂漠に花を咲かすことが出来る薬」というアイテムでした。それなら、「栽培小幫手(栽培アシスタント)」のようなネーミングのほうが、ゲームにしっくりきます。
こんな風に、アイテム名ひとつとっても、文脈やストーリー、世界観を考えながら、丁寧にローカライズしていくことが、海外での配信を成功させるゲーム翻訳の秘訣なのです。
4.機械翻訳でできること
技術の進化に伴い、現在はAIも学習を繰り返し、上手な翻訳文を作ることができます。しかし、分脈を組み合わせて総合的に理解した上で、創造性や感性を発揮して魅力的な表現に仕上げることは、人のほうが上だと私たちは考えています。
また、機械で翻訳した内容が正しいかどうかを最終的に判断するのにも人の力が必要です。
ミエトランスレーションサービスでは、機械の力と人の感性やセンスを掛け合わせながら、パフォーマンスの高いゲームローカライズサービスをお客様にお届けいたしております。ご予算や納期に応じて、フレキシブルなご提案が可能です。中国語翻訳、中国語ローカライズなら、ミエトランスレーションサービスに、どうぞお気軽にご相談ください。
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