ビジネスに効果をもたらす高品質な翻訳文は、通常「正しく翻訳されていて、読みやすい」ものを指しますが、さらに効果を高めるために、ターゲット地域の文化にあわせて中国語翻訳の表現を変えて編集する手法があります。ゲームローカライズがその最たる例ですが、商業産業分野の中国語翻訳にも、ビジネスの収益をあげるための「カルチャライズ」があります。
目次
1.コンテンツの違和感を取り除く 〜語学学習アプリの例〜
語学学習のアプリで、ダウンロード数が多く人気があるものは、豊富な話題や設定シーン、楽しく遊べるゲーム感覚、学習アクティビティなど様々な工夫が凝らされています。当社も最近、語学学習のアプリやサイトの中国語翻訳・中国語ローカライズについて、ご相談いただくことが多くなりました。
アプリの外国語版を作る上で最も大事なことは、販売する国や地域の文化を考慮してコンテンツを検証することです。違和感がある部分は、地域の習慣に合うよう書き換える必要があります。中国語圏をターゲットとした「日本語学習アプリ」の会話を例に説明します。次の会話は、職場で同僚の送別会でのお餞別を相談しているシーンです。
A:人生の門出を祝って、時計をプレゼントしよう
B:それはいい考えだね
一見何の変哲もない日本語会話ですが、中国語圏のアプリユーザーである学習者は、受け入れることができません。なぜなら、「時計を贈る」というのは、「送終(地獄に墜ちろ)」という意味になってしまうため、時計を贈り物にはしないためです。
もし、アプリの登場人物がダイバーシティの設定で、上記の会話で話者Aが台湾で生まれ育ったキャラクターであれば、台湾の学習者から「台湾人が友人に時計を贈るなんてありえない!翻訳があまりにも不自然だ」と批判を受ける可能性もあります。このように文化的な禁忌は、中国語翻訳の段階で、別の表現にアレンジしなければなりません。
2.ユーザーが離脱しない工夫(ノベルゲームの例)
同じく会話形式で進めるコンテンツで、食文化の要素について見ていきます。中国語で作られたノベルゲームで、海外拡販を狙い、日本語版を作ることになった企画です。主人公が入院して、プレーヤーが見舞いにいくという設定です。
A:今から病院に行くよ、ケーキでも買っていこうか?
B:うん、鶏のから揚げと甘いデザート豆腐と台湾風煮卵をお願い
ユーザーの手が一瞬とまることは想像に難くありません。中国語はもともと「『鶏排』と『豆花』と『茶葉蛋』」と書かれており、いずれも台湾では軽食として人気がある食べ物です。中国語から日本語への翻訳としては、間違っていませんが、日本語ユーザーのストーリーに対する理解や感情が変化し、離脱率が高くなりそうです。
3.視覚的にも検証したいネガティブチェック
ネガティブチェックとは、マイナスとなりかねない要因を前もってチェックする作業を指します。例えば、新商品や新施設などに名前をつけるとき、そのネーミングが消費者に悪いイメージを与えないかを検証する作業です。
中国語翻訳は一般的に、漢字の「意味」と「発音」を考慮してネーミングしますが、この両方の要素に悪いイメージがないかを検証します。
ほかにも、視覚的な検証があります。かわいい帽子をかぶったキャラクターでも、その帽子が緑色のときは注意が必要です。中国語では「緑の帽子」は「恋人や妻の浮気」を意味するため、男性を嘲るときに使われ、良い印象をもたらしません。中国語翻訳の作業において、帽子は別の色に変えるほうがよいでしょう。
4.ビジネスに使える、利益を生む翻訳ローカライズ&カルチャライズ
異文化を理解せずに、中国語翻訳、中国語ローカライズ、カルチャライズを進めることはできません。コンテンツの構成、前後の文脈はもちろんですが、ターゲットとする国や地域の文化を十分に理解した上で、どのように翻訳するかを慎重に検討する必要があります。
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