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タヌキの「タカラクジ」は「空くじ」。ダジャレの中国語翻訳を簡単に作る方法。

言葉の壁を超えるのが難しい「笑い」。ゲームのセリフをローカライズするとき、ジョークやダジャレはそのまま中国語に翻訳しても意味が通らなくなってしまいます。笑いのツボをおさえるためには、リズムと語呂を意識して、新たな言葉遊びを作るように工夫します。
中国語翻訳の場合は、漢字の発音をうまく利用すると、楽しいダジャレに仕上がります。最近ではAI機械翻訳でも、かなり精度の高いものを作ることができます。

1.音に注目したなぞなぞ中国語翻訳

韻を踏ませる方法は、最もポピュラーな方法といえます。日本ではおなじみのなぞなぞ「タヌキの『タカラクジ』はあたらない。なぜなら、『空くじ』だから」という言葉遊びは、このまま中国語に直訳しても、「『タ』抜き」という表現ができないため、笑いのツボは残りません。
そこで、たぬき「狸」の中国語の発音「リ」という音を利用して、笑いを作ります。
●メイリ/没狸(たぬき無し)
●メイリ/没理(あたらない)
の二つをかけあわせて、中国語の言葉遊びを完成すると、ゲームローカライズのセリフも楽しく仕上がります。

2.意味を含ませたダジャレ中国語翻訳

音だけでなく、動詞と目的語のコロケーションを上手く利用して、別のダジャレに言い換える方法もあります。もともと、日本語で「瓶」と「ビンビン(痛い)」という韻を踏んだギャグですが、この場合「ビンビン」という擬態語は中国語で表現しにくいため、「砕ける」という動詞をうまく活用します。
●割れて砕けたもの:瓶
●割れて砕けたもの:心
原文では「痛いのは指」、翻訳文では「痛いのは心」と若干意味は異なりますが、言葉遊びの中に知的なセンスが光るダジャレの中国語翻訳が完成しました。

3.楽しさを追求したオノマトペ中国語翻訳

オノマトペを含む場合はどうでしょうか。オノマトペテン師の楽曲「てにをは」の一節を例に挙げてみます。この曲は台湾でもポピュラーで、翻訳家の人たちが色んな翻訳をネットで発表しています。以下、わが社の社内公募で優勝した翻訳作品をご紹介します。「ところで、ところてんうまい、ちゃちゃちゃちゃ」の「ところてん」を使って、オノマトペまで見事に中国語にしたものです。
●寒天:寒い日
●寒天:ところてん
●寒天:(寒くて)歯がカチカチなる

4.AIが考えるダジャレ中国語翻訳

以上、ご紹介した翻訳は、すべて人手翻訳によるものですが、最近では、AIでもこうしたリズムと語呂を意識した翻訳ができるようになってきています。
●たぬきの「宝くじ」は「空くじ」
AIが考えた英語翻訳:The raccoon’s lottery is a lotta nothing!
「lottery」と「lotta nothing(たくさんの何もない=空くじ)」という英語の語呂あわせによる言葉遊び
AIが考えた中国語翻訳:狸的樂透,都是空頭!
「樂透(くじ)」と「空頭(ハズレ)」でリズムと語呂を意識した翻訳。樂透の発音は「ルゥトォゥ」、空頭の発音は「コントォゥ」。

正解というものがないダジャレ翻訳。大事なことは、読者の笑いを誘うこと、リズムや語呂を意識すること。人手でもAIでも、この点だけに気を付ければ、楽しい笑いのツボを、翻訳先の言語で表現することができるでしょう。
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