ビジネス文書の中国語翻訳が必要になったとき、中国語の漢字の違いや、用語表現の違いを理解するだけでは、十分ではありません。中国語簡体字圏の中国と、中国語繁体字圏の台湾では、文書の書式やフォーマットにも大きな違いがあります。
法律分野の契約書では、書式のほかに、日付や通貨などの数字の表記方法も異なります。ビジネスにおいては、要となる部分であるため、交渉を進める前に十分な理解が必要な部分だといえます。本記事では、具体的な例を挙げながら、ビジネスでの中国語翻訳における重要なポイントを解説します。
1. 法律・契約書の条文番号の書き方
法律や契約書の条文番号は、台湾(中国語繁体字)も中国(中国語簡体字)も左の端に揃えます。中国語繁体字は、日本語と同じように条番号や項番号のあとに、条文をを字下げして入れていきますが、中国語簡体字では、条番号の文頭を2マスあけるため、二行目からは条文が条番号より左に飛び出している形になります。
労働基準法(台湾「労動基準法」と中国「労働法」)を政府の法令データベースから比較してみます。
繁体字(台湾・香港)
出典: 全國法規資料庫(勞動基準法)
簡体字(中国)
出典: 国家法律法规数据库(中华人民共和国劳动法)
2. 日付の表記方法
台湾と中国では、法文書や契約書で用いる日付の表記も異なります。台湾では一般的に西暦ではなく、中華民国の年号が用いられます。日本語から台湾向けの中国語繁体字に翻訳する際は、年号の変換に注意が必要です。一方で、中国では西暦のみが一般的です。
地域 | 日付の書き方 |
台湾(中国語繁体字) | 中華民國112年10月1日(西暦2023年) |
中国(中国語簡体字) | 2023年10月1日 |
3. 数字・通貨の表記方法
通貨が異なるため、金額の数字も表記方法が異なります。アラビア数字は共通ですが、数字の前につける通貨表記が異なります。同じ「1,000元」といっても、価値は全く異なる額になるため、十分な注意が必要です。
地域 | アラビア数字を使った通貨表記 |
台湾(中国語繁体字) | 新臺幣1,000元 |
中国(中国語簡体字) | 人民币1,000元 |
4. ビジネスレターの文頭文末
ビジネスレターのフォーマットも、地域によって異なります。文頭と文末の表現を比べてみます。
地域 | 文頭 | 文末 |
台湾(中国語繁体字) | 敬啟者 | 順頌 商祺 |
中国(中国語簡体字) | 尊敬的〇〇 | 谨此致敬 |
5. 企業が考慮すべきポイント
中国語翻訳を依頼する際、契約書やビジネス文書のフォーマットがターゲット市場に適しているかどうかを確認することが重要です。また、中国語翻訳を依頼する際には、
●ターゲット市場の契約書フォーマットに精通しているか
●ビジネス文書の中国語翻訳実績があるか
●現地の法律・文化に適した中国語翻訳を提供できるか
などを確認し、適切な中国語翻訳会社を選定することも大切です。
企業が中国語翻訳を依頼する際には、単に言語の違いだけでなく、フォーマットやレイアウトの違いを考慮することが重要です。適切な翻訳会社を選ぶことで、ビジネス文書がより正確にターゲット市場に適応できるようになります。